長野の郷土食
南北に広い長野県。地域によって『おやき』は全く違うものです。
奥さんの実家の北信地域では、おやつ的な『おやき』です。
形は直径8cm前後、厚さ1~2cmの円柱型。
一人で軽く2個以上は食べられます。人気のある中味の具材は野沢菜や茄子。
甘党の人には、あんこ・かぼちゃも人気です。
北信地域の『おやき』は具材の種類が豊富で、きのこに季節の山菜、
最近はリンゴの『おやき』もあります。
ここ、安曇野周辺の『おやき』の形はまん丸の球体。
直径10cm前後で、外の生地のかわが割と厚く、ずっしり重い。
おやつ的なものより、食事的な『おやき』で、1つ食べればお腹がいっぱい。
惣菜の具がメインで、甘い味のものはありません。
そんな、まん丸『おやき』を作る地域では、灰ころがし『おやき』があります。
灰ころがし『おやき』ならここ!! …っていう位、地元の人なら誰でも知っている、
『おやき』屋さんへ初めて行ってきました。

東筑摩郡生坂村にあります、勝家のおやき店です。
以前より、知人からこちらの『おやき』は頂いていて気になっていたのですが、
なかなか行けずにいました。
周辺には民家と畑があるだけで、突如このプレハブの様な建物が現れます。
正直、古民家のようなところで営業しているのかと、勝手に想像していたのですが、
プレハブだとは…正直、驚きましたが…壁のあちこちが、灰で黒く染まり、
それはそれで味があります。
店内に入ると、ビックリ!!! とにかく、暑い!!!
ひたすら、店内で『おやき』を作り続けるおじちゃん、おばちゃんの額には、粒の汗。
汗を大量にかきながらも、笑顔で親しげに話をしてくれるおばちゃん。
何か、すごくパワーを感じます。
店に入ってすぐの部屋で、おばちゃんが『おやき』の具を包み、
まん丸な形に仕上げていました。
そして、もう一歩進むと、灰のいろりの部屋があります。
さらに暑い環境の中、店のおじちゃんはひたすらに『おやき』を灰の中でころがし続けていました。
それも一つずつ。何度も何度も。向きを変えて、また灰で覆って。
この繰り返し。こんな手間暇をかけられているから、美味しいわけです。

勝家のおやきは、具材を包んだかわが、とにかく美味しいのです。
灰でじっくり焼かれ、外はカリカリ。厚いしっかりしたかわで、
何度もよく噛んで食べます。ほのかな地粉の風味が何ともいえず美味しい。
人気の具材は茄子。 …というか、茄子が一番美味しいと評判で、
茄子意外は食べたことがありません。
興味深く店内を眺めながら、おばちゃんとの会話を楽しんでいると、
出来たてのアツアツの『おやき』を思いがけず、試食させてくれました~
出来たてを食べるのは初めて。ガブツとかぶりつきたくても、熱い~。
でもカリカリと美味しい~。体がポカポカしてきて、
思わず私達も額に汗をかきながら、出来たて『おやき』をほうばりました。

その土地の食べ物と、その土地の人とのふれあい。
思わず笑顔になる、気持ちのいい時間を過ごさせて貰いました。